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岩手県久慈で大発見 恐竜時代の植物入り琥珀

    世界初 新種「苔」入り琥珀

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【発見された苔の全体画像】

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(画像提供:服部植物研究所 協力:久慈琥珀博物館)

久慈琥珀博物館(岩手県久慈市)は、公益財団法人服部植物研究所(宮崎県日南市)とともに、久慈琥珀博物館の琥珀採掘場で発見された琥珀の中の植物について、服部植物研究所 片桐知之所長との共同研究により、世界初の新種コケ植物であることが判明。

 

今回の琥珀が発見された場所は、岩手県久慈市小久慈町にある久慈琥珀博物館が運営する琥珀採掘場です。この周辺に分布する後期白亜紀・約8500万年前の(火山灰に含まれる放射性物質による年代測定による)久慈層群玉川層です。この地層からは、琥珀をはじめ琥珀中に絶滅種や新種の昆虫・植物など含まれている事が多々あります。

 

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発見された琥珀採掘現場 (画像提供:久慈琥珀博物館)

・発見日:2018年7月  発見者:久慈琥珀株式会社の社員

・発見された部位:植物体の先端部

・地質年代:久慈層群玉川層 約8500万年前:中生代後期白亜紀

発見された新種 「苔」について

■本種は葉状性苔類で、葉状体は幅0.6–0.8 mm、中肋をもち、規則的に分枝し、円盤状の枝をもつことが特徴(分類学的位置:ゼニゴケ植物門、ツボミゴケ綱、フタマタゴケ目、フタマタゴケ科)

■白亜紀後期のコケ植物(蘚類と苔類を含む)としてはクンノコゴケ(2013年発表)(蘚類)に続く国内で2番目の記録となり、久慈産琥珀からの苔類としては国内初報告。

■新種の学名は「Metzgeriites kujiensis」(読み方:メツゲリーテス・クジエンシス)。和名は「クジフタマタゴケ」(久慈二叉苔)。産地に由来する。久慈の名前と久慈産琥珀の価値が諸分野にも広く認められるきっかけになるよう願いを込めた。

■本新種の発見はフタマタゴケ科の種が白亜紀後期の東アジアに存在していたという最初の証拠であると同時に、白亜紀の植物の多様性やコケ植物の進化過程の解明に貢献している

久慈は日本で最大の琥珀産地であり、久慈産の琥珀は白亜紀後期の東アジアの陸域生態系、特に昆虫やコケ植物のような小さな動植物の動物相・植物相の解明のための最も重要な情報源の1つである。昆虫に関しては数例の報告があるが、コケ植物に関しては、これまでに研究が行われてこなかった。2010年頃から片桐氏は久慈琥珀と共同で研究を行い、2013年に琥珀中から国内初となるクンノコゴケ(蘚類)を見出し、新種として発表した。継続的な研究の末、今回国内2例目となるクジフタマタゴケ(苔類としては国内初)を発見した。

これらの発見は、恐竜時代(白亜紀後期)のコケ植物の多様性及び東アジアのコケ植物の進化の解明に貢献している。今後久慈産琥珀に含まれるコケ植物の研究が進めば、白亜紀後期の東アジアのコケ植物の多様性や進化に関するさらなる直接的な証拠が得られる可能性が高い。